ワタシ
川崎重工
川崎重工を支える人
私の夢と想いを乗せた航空機が、大空を舞う。
NAHOMI SAITO
航空宇宙システムカンパニー
# 01
齋藤 那帆美
航空宇宙システムカンパニー(航空宇宙ディビジョン) 設計
工学部 航空システム工学科 卒 2012年度入社
INTERVIEW
学生時代 → 入社動機
人力飛行機作りに
夢中になり、
「もっと大きなものを!」。
小学2年生の時、一人で飛行機に乗って親戚のところへ遊びに行ったことがありました。私にとってはとても印象的な出来事で、それが航空業界を志す原体験となったように思います。その後、航空を専門的に学べる大学に入学した私は、人力飛行機を作る自主プロジェクトに参加。そこでものづくりの楽しさを知り、夢中になって取り組むうちに、「もっと大きなもの、インパクトのあるものを作りたい!」と思うようになりました。
そこで出会ったのが、当時、川崎重工から大学へ出向していた教授でした。「川崎重工なら、大型機の設計業務やボーイング社での仕事に携わるチャンスがある」と聞き、それならぜひチャレンジしたいと当社を志望しました。工場見学では、その規模の大きさに圧倒され、「こんなところで働けたらいいな」と志望の気持ちが高まったのを覚えています。一方で「ヒトの川崎」と言われるように、働く人の良さや、人を大事にする社風も魅力でした。それは、アドバイスをくれた教授の人柄からも感じられましたし、実際に入社した今も実感している魅力ですね。
これまでの仕事とやりがい
思えば、ずっと最先端の
航空機開発に
携わらせてもらっている。
入社以来ずっと、航空機の設計に携わっています。まず入社してすぐに担当したのが、民間機である787型機の空調装備設計。配属された1日目から、使ったこともないツールで設計をすることになり、不安を感じる一方で「若さなど関係なく、何でもやらせてくれるんだ」とわくわくしながら、念願だった航空機設計業務のスタートを切りました。以降、民間機の開発設計や維持設計をいくつか手がけた後、現在は防衛航空機の構造設計を担当しています。
この約10年で設計してきた航空機はどれも最先端のもので、そうした仕事に携わらせてもらえたことは本当にありがたいと思っています。もちろん、これらの開発は到底自分一人でできるものではなく、いくつものチームに分かれた何百人という開発メンバーが意見を戦わせ、力を合わせながら壁を乗り越えた結果、成し遂げられるもの。だからこそ、その航空機が大空を舞う姿を見た時には、言葉にできない達成感が胸を満たすのだと思います。少女時代から航空業界に憧れ、学生時代には大型機の設計を夢見ていた私にとっては、言うことのない仕事に就けています。
成長を実感した瞬間
目指すべき女性技術者像を
見出したアメリカ駐在。
私のキャリアの中で最も大きなできごとが、入社4、5年目の時に経験した米・ボーイング社への出向でした。担当したのは、777X型機の胴体フレーム設計。女性技術者として当社から出向し、ボーイング機の開発に携わったのは私が初めてとのことで、気合十分で臨みました。日々の業務はすべて英語で、設計思想も異なるため、最初は非常に苦労しましたが、新入社員をやり直すくらいのつもりで覚悟を決め、食らいついていきました。結果、英語力が向上したのはもちろん、それぞれバックグラウンドやカルチャーが異なる技術者集団に身を置くことで、論理的な説明スキルや交渉術が養えたとともに、物事を考える際の視野も広がりました。
また、女性技術者が少ないなか、偶然か意図されてか私の上司は女性の技術者だったのですが、この出会いが大きかった。女性としてのしなやかさやキュートな一面を持ち合わせながら、技術的なディスカッションでは厳しく鋭い指摘を繰り出す彼女に、感銘を受けました。多くの男性に囲まれてのマイノリティながら、決して女性らしさを捨てず、「技術」で勝負をする。その姿に、自分が目指すべき女性技術者像を見出しました。こうして1年半に及ぶアメリカ駐在は、私の想像をはるかに超えた成長機会をもたらしてくれました。
叶えたい未来
今後さまざまなライフイベントが発生したとしても、航空機エンジニアとして仕事を続けていきたいと思っています。そして、チャンスがあればぜひ挑戦したいのが、自社開発の航空機製造。これは入社前からの私の夢でもあります。そのためには、まだまだ多くの経験を積む必要があるので、今後もさまざまな航空機の設計を手がけていきたいです。海外駐在も、経験を積んだうえでもう一度チャレンジし、次回は設計者として海外のエンジニアと対等に議論できるような知識や英語力を身につけて臨みたいと思っています。
そして、「私はこう考える」という明確な自身の設計思想を、航空機に反映できるだけの力をつけていきたい。ゆくゆくは、自社開発の航空機設計でトップ10に数えられる技術者になれたら最高ですね。「この人に聞けば大丈夫」「あの人、かっこいい航空エンジニアだね」と男女問わず言われるような存在になれば、これから入社する女性技術者にとっても良いのではないかと思っています。