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川崎重工業株式会社 RECRUITING SITE

03Vision

近未来プロジェクト

PROJECT Aカーボンニュートラル 実現プロジェクト

PROJECT A

PROJECT A

経済と環境の好循環を生み出す
豊かな未来づくりに貢献せよ。

日本が宣言した
カーボンニュートラル。

CHAPTER

01

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川崎重工のカーボン
ニュートラルとは⁉

2020年10月、時の菅総理は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指す」と宣言した。この宣言に伴い、昨今耳にすることが多くなった「カーボンニュートラル」だが、これは「温室効果ガスを一切排出しない」という意味ではない。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林や森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味している。つまり、温室効果ガスの排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については、同じ量を「吸収」または「除去」することで差し引きゼロを目指す、というのが、日本政府が進める「カーボンニュートラル」である。

そもそもの背景にあるのは、温室効果ガスが原因とされる気候変動だ。経済活動や日常生活に伴って世界中で排出される温室効果ガスが地球温暖化をもたらしており、このままの状況が続けば、世界の平均気温の上昇によって、人類の生存基盤が脅かされると指摘されている。そうした背景のもと採択されたのが、2015年のパリ協定だ。そこで合意された「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)」という世界共通の長期目標に向け、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げて取り組みを進めている。日本もまた、その例外ではない。

菅総理によるカーボンニュートラル宣言の2カ月後には、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。2050年に先立ち、2030年までにCO2排出量を2013年度比で46%削減するという、高い目標を実現するためのロードマップを示した。これを機に民間企業において、温室効果ガスの排出抑制に向けた新事業の開発や方向転換が進みつつある。川崎重工も、世界が抱えるこの難題に対し、独自の技術革新によって解決策を示そうとしている。それが水素活用を軸にした、川崎重工が進めるカーボンニュートラルだ。

川崎重工が挑む
カーボンニュートラル。

CHAPTER

02

02

重工業界で初めて「環境報告書」を発行するなど、環境経営で古い歴史を持つ川崎重工は、カーボンニュートラル宣言に先立ち、2017年に「Kawasaki地球環境ビジョン2050」を策定。CO2 FREE(低炭素社会の実現)、Waste FREE(循環型社会の実現)、Harm FREE(自然共生社会の実現)につなげる重点施策を設定し、さらなる環境経営を進めている。

なかでも注力しているのが、「CO2 FREE」を視野に収めた、大幅なCO2排出量の削減だ。川崎重工では、事業活動で用いるエネルギーのうち、購入電力の占める割合が高い。そのため、自家発電設備の積極的かつ効率的な活用や、太陽光発電による再生可能エネルギーの活用、省エネルギー活動などを推進している。特に明石工場では、自社開発のFEMS(Factory Energy Management System)を導入し、電力使用の効率化を図っている。ガスタービン、ガスエンジン、ボイラなど多様な機器で構成された複合エネルギー設備を「EMS」と呼ぶが、工場向けのシステムが「FEMS」だ。電力使用の経験値をシステムに覚えさせて、運転パターンを最適化することにより、CO2排出量の削減と同時に運用コストを最小まで低減することができる。

また、西神工場では「PPA(Power Purchase Agreement)モデル」により太陽光発電を導入している。工場の敷地や屋根上に、売電事業者の太陽光発電システム設備を無償で設置し、そこで発電した電力を川崎重工が直接購入する仕組みだ。これにより、西神工場で使う全電力量の3%を太陽光発電でまかなっている。少量ではあるが、この電力はすべてCO2排出量がゼロとなるため、メリットは大きい。

さらに、省エネルギー活動の一環として、自社開発のエネルギー見える化システム「K-SMILE」を主要工場に導入し、設備運用のムダ・ムラの発見とその対応に取り組んでいる。

そして今後は、S+3E(Safety / Energy Security / Economic Efficiency / Environment)をふまえたエネルギー調達先の最適化や、複数工場でエネルギーの最適化を図るMEMS(Multisite Energy Management System)も進めていく考えだ。

水素の活用で目指す、
脱炭素社会の実現。

CHAPTER

03

03

カーボンニュートラルの取り組みにおいて、川崎重工が主軸に据えているのが「水素」の活用だ。石油、石炭、太陽光といった多くの一次エネルギーは、二次エネルギーに変えて保管・保存することできないのに対し、水素は余った電力を使って水を電気分解する「Power to Gas」により、貯蔵や輸送が可能となる。また、燃やすことでCO2などの温室効果ガスを排出する石油や石炭と異なり、水素はエネルギー源として利用した後は「水」となって循環が可能だ。これらの特長から水素は、脱炭素社会実現に向けた「究極のエネルギー」として今日、世界から熱い注目を浴びている。

川崎重工は、その水素エネルギーにおけるトップランナーとして、「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」の全プロセスにおいて、技術革新を強力に推進してきた。なかでも特筆すべきは、運搬船の開発だ。水素は、気体のままでは貯蔵や長距離の輸送効率が悪いため、液体や水素化合物といった「キャリア」と呼ばれるものにして、効率的に貯蔵・運搬する必要がある。現在、水素キャリアとして有力視されているのは、液化水素、アンモニア、有機ハイドライトの3つ。川崎重工ではまず、そのうち液化水素を運搬する、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を開発し、実証試験を進めている。さらに2021年5月には、液化石油ガス(LPG)とアンモニアを運ぶ兼用運搬船を開発。燃やしてもCO2が出ないことから水素キャリアの注目株であるアンモニアの「はこぶ」技術も確立した。

ほかにも、市街地でのガスタービンによる純水素を燃料とした熱と電気の同時供給、純水素に対応するガスタービンの燃焼試験、水素燃料航空機用エンジンの燃焼器の研究開発など、先進的な取り組みで世界を牽引する。こうした技術革新の成果は、これまで多様な分野で長年にわたり培ってきた技術力があってこそ。今後は、その技術力をベースに、異なる強みを持つ他社ともアライアンスを進めながら、真にグローバルな競争力を持つ技術を生み出していく構想だ。

神戸荷役基地で実証試験に臨んでいる「すいそ ふろんてぃあ」

CO2の分離・回収、有効活用。
そして未来へ。

CHAPTER

04

04

今日では、CO2の排出を低減する一方で、工場などから排出されるCO2を分離・回収、有効利用、貯留する「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」システムの確立が求められている。そこで川崎重工では、CO2の分離・回収システムの研究開発を推進。固体吸収材を用いた川崎重工のKCC(Kawasaki CO2 Capture)移動層システムを開発・改良することにより、CO2分離・回収の性能向上に挑んでいる。

これは、2015年度から経済産業省の委託事業「二酸化炭素回収技術実用化研究事業」として、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同で取り組み、2018年度からNEDOの委託事業に移管されて実施されているプロジェクトだ。明石工場で実証されたシステムをスケールアップし、関西電力の協力を得て舞鶴発電所内にパイロットスケール試験設備を建設。2022年度から石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス中のCO2分離・回収試験を開始する。

CO2の分離回収技術はこれまで化学プラントなどで利用されてきたが、川崎重工が目指しているのは省エネと低コストを実現するシステムだ。従来はアミン水溶液がよく利用されていたが、CO2を吐き出す際に120~130℃の熱を要することから、多くのエネルギーを必要とした。一方、川崎重工が採用している固体吸収材は、水を含まないため60℃の熱が利用でき、これまでは捨てていた低い温度の熱エネルギーを有効利用することができる。その結果、従来方式に比べ、40%以上のエネルギー削減が期待できるというわけだ。

これまで見てきたように、カーボンニュートラル構想のもとで、脱炭素社会の実現に向けた技術開発や取り組みが加速している。地球温暖化への対応を経済成長の制約と考える時代は終わり、長期的な視野のもと、それを企業成長の機会ととらえる時代に変わりつつある。CO2排出量を事業プロセスや製品の利用時において削減し、加えてCO2の分離・回収技術開発に取り組む川崎重工は、脱炭素社会の実現を目指しながら社会とともに成長することにより、経済と環境の好循環を生み出す豊かな未来づくりに貢献していく。

荷役基地に設置されている水素の荷役のための「ローディングアームシステム」

PROJECT A

カーボンニュートラル 実現プロジェクト

経済と環境の好循環を生み出す
豊かな未来づくりに貢献せよ。

PROJECT B

国産初の手術支援ロボット「hinotori」開発プロジェクト

尊い命と向き合う医療の現場を、
新たな地平へと導いてゆけ

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