私は大学の専攻は経営工学だったため技術系で入社したのですが、入社2年目で情報システム部門に配属され、そこで6年間、主にデジタル関連の業務改革に携わった後、それまでとまったく異なる分野の経理部門に異動となりました。以降はお金に関わる業務をメインに行っており、現在はカンパニーにおいて経営計画の立案をはじめ、損益や生産の計画およびフォロー、また個別案件のリスク評価とその管理などを行っています。
04People
入社30年目社員座談会
30th year
入社してから約30年、川崎重工で人生を歩んできた社員に、キャリアを重ねたからこそわかる川崎重工の魅力や同期やチームといった仲間の存在の重要性などを語ってもらいました。
MEMBER
北村 公久KIMIHISA KITAMURA
エネルギーソリューション&マリンカンパニー
エネルギーディビジョン
エネルギーシステム総括部業務部 部長
理工学部 経営工学科卒
1993年入社
松田 義基YOSHIMOTO MATSUDA
カワサキモータース株式会社
技術本部 副本部長 兼
本社 社長直轄PJT本部
近未来モビリティ総括部 副総括部長
工学部 機械システム工学科卒
1994年入社
北林 孝顕TAKAAKI KITABAYASHI
本社 人事本部
人財開発部/K-Win推進部 部長
理工学部 土木工学科卒
1995年入社
Q.入社して約30年。これまでのキャリアを振り返ってください。
北村
松田
経理への異動は希望して?
北村
そうですね。上司との面談で「このまま情報システムを極めるか、全然違う業務に就きたいかどっちだ?」と聞かれて、「違うことがやりたい」と答えたのがきっかけ。経理部門に異動した後、マレーシアに現地責任者として駐在したことがありましたが、特に自分から希望したわけではなく、「ぜひ行くべきだ」と上司から強く勧められて。振り返ると、経理への異動にしても海外赴任にしても、私にどのようなキャリアを積ませればよいかということを、よく考えてもらっていたように思うよ。
松田
なるほどなあ。僕は入社して約10年はジェットスキーのエンジン設計を担当していました。
配属わずか数1カ月で「自分にやらせてほしい、良いエンジンを設計する」と真剣にお願いするような、生意気な新入社員だった。3年目には、排出ガス規制対応で手を組んだ米国企業とのプロジェクトを任されたり、エンジンの4サイクル開発を10カ月でやって生産しなきゃならなくて困った時に、アイデアを提案して取りまとめやらせてもらったり、と生き生きやってました。その後、カンパニーが20年ぶりにグランプリレースに出ることになりMotoGPのエンジン設計に転属、最終的には開発のプロジェクトリーダーも務めました。
北林
レースマシンの開発は厳しい世界だったのでは?
松田
うん。あらゆる意味で限界を超えました。まさに全力投球してもまだ足らない日々で、本物の苦しさとプレッシャーを知ったな。でも今思えば、一切言い訳が利かない結果がすべての世界だからこそ、仕事で大切なことはすべてここで学んだと思うな。その後、製品開発部門でも、先を読んで自ら始めて人を巻き込んでいくやり方が出来上がったと思う。計画外だった電子制御を自分でプログラム組んで、上司に市場差別化に絶対必要だからと承認プロセスまで変える説得して量産採用まで持ち込んだり、研究部門で電動二輪開発のゼロベースチャレンジしたり。そして今は、カンパニーの技術本部で副本部長を務める一方、本社の社長直轄プロジェクトで近未来モビリティの開発を進めています。
北林
私は土木工学出身で、最初の10年間はプラント部門で主に海外向けプラントの土建設計を担当しました。この間は長期の海外出張も多く、10年のうち2〜3年くらいは海外にいたと思います。プラントの仕事が大好きだったので、ここで骨を埋めようと思っていたところ、10年目でTQM推進部に異動となりました。
TQM推進部は技術開発本部内にあり、全社の技術をいかに効率よく価値に変えるかの仕組みを考えるいわばコンサルティング部門。この業務に携わるなかで当社の経営戦略についてよく考えるようになり、MBAに通うなどして経営学を学び始めました。そんなわけで最初の10年はモノづくり、次の10年は仕組みづくり、そしてその後は本社の人事部に異動となり、今は人財開発担当として人づくりに携わっています。
Q.キャリアを重ねていくなかで感じた川崎重工の魅力を教えてください。
北林
一番の魅力は「人」ですね。人情味があるというか。私は関東出身ですが、関西風の、人に温かい、優しいところがある会社だと思っています。
松田
人についていえば、みんなしっかりしているし、仕事に対して良い意味でまじめ。仕事に真剣に取り組んでいて、達成意識が非常に高いことが売り。でも、そういうしっかりした土壌があるからこそ、「変えていこう!」というタイプが、胸を借りて崩したり仕掛けたりしていけるのだと思う。だからこっちは、勝算と最後まで逃げない覚悟が売り物。しっかりしているけれど、崩すことも認める。それは重工業という業界の中では、奇跡のバランスといっていいんじゃないかな。これだけいろんなカンパニーがあってカルチャーもそれぞれなのに、このバランスが保てるんだから何かがあるんだと思う。
北村
私も人に魅力を感じています。また、いろんなカンパニーがあるなかで、携わる製品や職種にもたくさんの選択肢があって、私自身、技術系から事務系へと職務が移ったわけですが、「これがやりたい」と思ったら、それを実現できるフィールドと、「ではやらせてみよう」という度量の大きさがこの会社にはあります。
北林
確かに若い人に任せる風土はありますね。私もプラント部門で、思った以上に早くプロジェクトのリーダーをやらせてもらいました。担当プロジェクトの半分はトラブルに見舞われてうまくいきませんでしたが、それでも「お前がまとめろ」と任せてくれる懐の深さがありました。それが、「何があってもやり切る」という会社の姿勢につながっているのかもしれませんが、そこは顧客にもちゃんと認識されていて、「川崎重工は逃げない」「必ずやり遂げてくれる」という信頼感につながっている。それは当社の大きな強みだと思います。
松田
おかげで難しい案件がたくさん舞い込んでくるわけだけど(笑)、そこでいろんな壁にぶち当たりながらテクノロジーを極めてきた結果、100年企業として今ここに存在しているんだと思う。
Q.これからの川崎重工にどんな期待を寄せていますか?
北林
先ほど話に出た「人の良さ」や「まじめ」といった部分はこれからも変わらず持ち続けていたい。そういう仲間が力を合わせて良い仕事ができれば、当社がこれからの注力分野に挙げている「安全安心リモート社会、近未来モビリティ、水素エネルギー」以外にも、まだまだ川崎重工が活躍できるフィールドを見出せると思っています。
北村
最近よく社内のSNSで集まった幅広い年代のメンバーとオンライン飲み会を開いているのですが、そこで感じるのは、まだまだ若い社員のポテンシャルを十分に拓いていないなということ。若い人たちがもっと自由に動けるような仕組みを作って、今以上に力を存分に発揮できるようにしたい。私としては今後、その仕組み作りに取り組んでいきたいと思っています。
松田
僕はこの会社の社員を信じているんです。絶対にやり遂げる。実際、やり遂げてきた。だから、若い人は思い切って「やっちゃえば良い」んだと思っています。そこで仮に何か問題が起こっても、みんなで何とかする。そうやって、本当に大切なことは次第に分かってくる。そういう大胆なチャレンジの集積が、川崎重工の未来を拓き、変えていくんじゃないかな。
Q.同期社員のつながりや、部署・カンパニーを超えた連携が功を奏したエピソードがあれば教えてください。
北村
社内業務システムの開発を担当していた時、システムを構築するとともに、各部門の業務そのものを見直す必要があったのですが、その際、実務の本当のところを突っ込んでヒアリングするのに、各部門に在籍していた同期の存在はとても助かりましたね。また、部署・カンパニーを超えた連携という点では、目に見えた成果につながっているわけではありませんが、先ほども話した社内SNSを挙げたいと思います。そこでは、さまざまな部署の幅広い年代のメンバーが交流していて、普段の業務からはなかなか知り得ない情報や考え方にふれることができる。それらに刺激を受けながら、自身の業務テーマに対してどういうアプローチをすべきか、思いを巡らせることができています。
松田
僕がこれまで育ってきた部署では、「新しい技術ネタは技術者自身が開発業務の間に潜り込ませ自力で創出していく」という風土があった。やれる者がなんとかする文化というか。この風土は人づくりにはとてもよかったんだけど、最近はいよいよそういう個の力では太刀打ちできないような市場環境になってきた。そこで、2年前に技術本部で設計統括の責任者を任された際、私が兼務で部長の責任取るからって先行開発を専門にやる部署を作らせてもらってモビリティ、自律運転のMULE(オフロード汎用4輪)とかMCのエンジンを使ったシングルロータVTOL(垂直離着陸機)の研究してた。それらの一部が今や、ロボティクス部門もいっしょに、カンパニーの垣根を超えて社長直轄プロジェクトにつながりました。こんなにわくわくすることにチャレンジさせてくれる川崎重工って、良い会社だなと思います。
北林
各カンパニーに所属している同期社員は、何かあった際の良き相談相手になってもらっています。また、研修やプロジェクトで一緒になった仲間とも、それがきっかけでコミュニティができ、良い関係が続いていますね。あとは、私の価値観を大きく変えた同期とのエピソードがあります。彼は同じプラント部門に配属された同期で、「末は社長か」と言われるほど優秀な奴です。ある時、彼に「なぜお前は川崎重工にいるのか。それほど優秀なら、他に活躍の場があるだろう」と冗談まじりに聞いたことがあったのですが、それに対し彼は「この会社は古い。図体は大きくて動きも遅い。でも、自分はこの会社が好きだ。世の中には、自分の思うように会社を動かすことに価値を見出す人間もいるが、俺は、こんなに大きくて古い会社を少しでも変えて、もっともっと世の中に貢献できる会社にすることに価値を見出している。それは素晴らしいことじゃないか。大企業に入社する意義とは、そこにあるんじゃないか」と答えました。この言葉を聞いた瞬間、私は「自分がこの会社に入社した意義もここにあるのではないか」と深く共感を覚えました。以来、私はこの言葉を自分の胸に刻み、仕事と向き合っています。
Q.最後に、学生へのメッセージをお願いします。
北村
うちのカンパニーは、短期的に結果が出る仕事ではありません。受注までに3年お客さまの工場に通ったとか、開発に5年を費やしたとか、そういう仕事なので、長い目で仕事をとらえることのできる人に入ってほしいなと思います。仕事には大小もありますが、最後に必ず成果を積み重ねることができるところに価値を見出せる、そんな人なら川崎重工の良さを生かしながら自身を成長させることができるに違いありません。
松田
こんなこといって良いのかどうかわからないけれど、あまりいろいろ考えなくていいんじゃないのかな。フィーリングで川崎重工が良いと感じたら入社すればいい、それくらい軽い気持ちで臨めばいいと思いますよ。やる前にいろいろ考え過ぎず、自分のことは一旦後にしてまずやってほしい。大事なのは行動すること。動いてみると、思っていた以上に何かがあってアドリブ力が求められる。そうやって自分というモノも分ってくるから、大切なのはいつも冷静に客観していることだけ。そういう意味でも社会人として最初の一歩を踏み出すには、この会社は悪くないと思います。
北林
松田節ですね(笑)。でも私も、「ピンとくる」くらいの選び方でいいのかなと思います。何か製品一つに対してでも「これおもしろそうだな」と思ったら、それも縁。技術については、5年、10年、20年と長い年月をかけて習得していくような奥深いものが多いので、そういったスパンでじっくり力をつけていきたいという人の方が当社に合っていると思います。また、一人で完結する仕事はあまりないので、チームで何かを成し遂げるのが好きな人にとっては絶好のフィールドです。仕事の規模も大きいので、たくさんのメンバーと、大きな達成感を味わう。そう聞いて「ピンとくる」方は、ここで良き会社人生を歩めると思います。
上司部下座談会
同じチームで働く上司・先輩・部下の社員から、川崎重工の風土やチームワークについて語ってもらいました。川崎重工でどのように成長できるのか、どんな環境で働くのかを感じ取ってみてください。