谷口 達也

ワークレポート

環境性能の向上を実現する技術革新に、化学の視点からアプローチする。

厳しくなる一方の排ガス規制に対応できる、
高性能な触媒を研究開発。

大学では応用化学を学んでいました。就職するにあたり、まず化学メーカーや素材メーカーを検討しましたが、どこもしっくりこなかったので、他の業界も広く調べてみたところ、川崎重工に行き当たりました。機械系のイメージがありましたが、化学系が活躍できるステージもあり、想像以上に多彩なモノづくりをしていることから、技術者として幅広く成長していけるに違いないと考え、入社しました。

入社後は一貫して、モーターサイクルの排ガス浄化触媒に関する研究開発に携わっています。バイクには排ガス規制があり、有害物質を一定濃度まで浄化して排出することが定められています。今後ますます厳しくなる規制に対応できる、高性能な触媒を開発するのが研究開発のテーマです。触媒メーカーとタッグを組んで、触媒に使用されている材料の改良や、その評価・分析などを行っています。

複雑な化学反応のメカニズムを解明する。

排ガス浄化触媒は、材料に配合された貴金属と排気ガスが反応することで有害成分が無害成分に変わるという仕組みになっていますが、これが極めて複雑な化学反応なので、なかなか思い通りにはいきません。予期しない結果が出て、解釈に頭を悩ませることもしばしば。また、ラボ試験の評価では合格点だった触媒を、いざ実機レベルで評価するとまるでだめだったり。エンジンなどの上流機器も触媒の働きに影響を及ぼすので、それらも勉強して理解しておく必要があります。

また私たちの研究開発は、いつ製品化されるかわからない未来の技術へのアプローチではなく、数年後の製品化を視野に入れたもの。それが開発の難しさにもつながります。単純に触媒を大きくすれば浄化性能も向上しますが、排気系に搭載されることを考えると、出力の邪魔をしないよう触媒はできるだけ小さい方がいいのです。一方で、触媒に用いられている貴金属が高価なので、コスト面も重要な課題。いかに少ない量の貴金属で、目標とする浄化性能を実現するかが求められます。

このように開発条件は厳しいものの、だからこそ試行錯誤がうまくいって良い結果が得られたときの喜びは大きいと言えます。また、触媒はバイクに搭載されると外からは見えなくなる、一般には影の薄いアイテムですが、これがなければ製品を世に出すことができません。小さいながら、「地球環境を守る」という大きな役割を果たす、そんな重要な部品の研究開発に携わっていることに誇りを感じています。

化学分析の技術が必要とされるシーンは想像以上に多い。

技術開発本部では、全カンパニーを対象とした多彩な研究テーマに取り組んでいます。その中でチャンスがあればぜひ、入社前から興味を持っていた化学プラントの設計支援業務に携わってみたいと考えています。

ただ、やりがいのある業務はほかにもたくさんあります。今の仕事でもそうですが、さまざまな事象のメカニズムを解明するために、化学の技術が必要とされるシーンは想像以上に多いことが、入社して見えてきました。何十メートルに及ぶ大きなモノをつくる場合でも、実は原子レベルの化学的な検討を行っています。今後、川崎重工が多様なモノづくりにチャレンジしていく上で、化学系技術者のフィールドも広がりを見せることはまちがいありません。そうした中で、これからも重工メーカーにおける化学系技術者としての存在感を、しっかり示していきたいと思います。