Kawasaki Tech-Innovation

航空機・ガスタービン設計技術を活かしたモーターサイクルの開発 世界中のライダーに夢を与える「究極のロードスポーツ」の誕生。

開発の背景

世界のライダーの「Kawasakiへの期待」に応える、Kawasakiにしか作れないモーターサイクルを。

  • 今から約半世紀前、モーターサイクル市場に参入した川崎重工は、以来、競合メーカーと一線を画すユニークなマシン開発で、「高出力・高性能のKawasaki」というブランドイメージを築いてきた。しかし近年、競合が激しくなるにつれ、他社製品との性能の差がわかりにくくなっていたことに加え、世界中で行なっているライダーへの聞き取り調査で「最近のモーターサイクルは高性能だけれど、わくわくしない」という声も寄せられるようになっていた。

  • そこで、「他社製品を圧倒的に凌駕する、Kawasakiらしい突き抜けた二輪車をつくろうじゃないか」という気運がカンパニー内で高まり、プロジェクトはフルスロットルで始動した。目指すゴールは、高性能かつ「Fun To Ride」、そして「感動的な加速感」を味わえるモーターサイクル。その実現に向けて開発スタイルも大きく変え、他カンパニーの保有する技術を積極的に取り込んだ。そして生まれたのが、川崎重工の技術の粋を結集した、Kawasakiにしか作れない究極のロードスポーツ「Ninja H2/H2R」だ。

注目技術

ガスタービン、そして航空宇宙。他領域との技術シナジーがもたらした革新性。

「Ninja H2/H2R」に革新性をもたらした注目技術はまず、完全内製によるスーパーチャージドエンジン(過給エンジン)の開発だ。過給技術については、そのプロであるガスタービンビジネスセンターや技術開発本部から移管を受けた。ただし、実際に過給機を設計したのは二輪設計者だ。過給を前提としたエンジンを設計し、そのエンジン特性に照準を合わせて最適化した高効率の過給機を開発。こうしてすべてを自社設計することにより、エンジンの広い運転領域で過給機の高効率領域を使用することにより、空気温度の上昇を抑制することに成功し、それまで必須と考えられていたインタークーラーを不要とする革新的な構造とした。

もう一つ特筆すべきは、二輪車用空力デバイスの開発だ。ライダーはタイヤを介して路面情報をキャッチするが、高速走行や急激な加速によってフロントがリフトすると、それだけ路面の状態がつかみづらくなる。そのため「Ninja H2/H2R」では、カウルを路面に押しつける役割を持つ空力デバイスを開発・搭載した。これは、最先端の流体解析技術を有する航空宇宙カンパニーの空力専門家と二輪設計者の共同設計によるもので、量産二輪車にはじめて採用された。これにより、リフトを抑えて二輪車の挙動を安定させることに成功した。

創出した価値

常識を覆す革新性によって二輪車の持つ可能性を大きく拓いた。

完全自社開発のスーパーチャージドエンジンは、Kawasakiファンが熱望していた「感動的な加速感」を実現した。同時に、従来過給エンジンでは必須とされたインタークーラーを不要としたことで、省スペース・軽量・低コスト・省資源を実現し、地球環境との調和も図った二輪車に仕上げた。また、空力デバイスの採用により、高性能バイクを自在に扱う楽しさを提供。Kawasakiの掲げる「Fun To Ride」をみごとに具現化した。さらに、プレミアムブランドとしてのKawasakiを打ち出そうと、美しく反射する「銀鏡塗装」を採用したほか、各所の溶接やボルトの頭のデザインなど細部に至るまで徹底的にこだわり、他社製品との差別化を追求した。

かくして、世界中のライダーに夢を与え、日々の生活に感動と豊かさをもたらすとともに、地球環境の未来にも貢献する二輪車が誕生した。

川崎重工だからこそ作ることのできた「Ninja H2/H2R」は、常識を覆すその革新性によって、二輪車の持つ可能性を大きく拓いた。

Member's Message

やったことがないから、挑戦する価値がある

市 聡顕

モーターサイクル&
エンジンカンパニー
技術本部 第一設計部 第一課

市 聡顕
Satoaki Ichi

今回のプロジェクトでは、従来製品から大きくジャンプするものを作るという構想のもと、当初より他カンパニーや技術開発本部に協力要請を行い、これまでと異なるアプローチで開発を進めました。そして完成したこの「Ninja H2/H2R」は、まさに川崎重工の技術の結晶と言えます。それを示す意味で、カウルには川崎重工のリバーマークを特別に付与しています。

当カンパニーはかねてより若手が活躍できる風土がありますが、本プロジェクトでも入社1~2年目の若手社員がメンバーに入っています。技術を前進させるには、「今までにないものを作ってやろう」という挑戦心がものを言います。「やったことがないからできるかどうかわからない・できない」と言う人がいますが、「やったことがないから、挑戦する価値がある」のです。そこにチャレンジしない限り、新しいものは生み出せません。世界でまだ誰も知らない領域へ足を踏み入れる。川崎重工のモノづくりのおもしろみは、そこにあります。

Ninja H2 Movie